日本版SOX法の値段はいくら?

「そもそも内部統制とは?」

 そもそも内部統制とは、06年6月に国会で成立した金融商品取引法の中に盛り込まれた内部統制に関する報告実務の義務に関する事をいいます。

 02年に成立した米企業改革法を参考にしており日本版SOX法とも呼ばれます。

 これにより全上場企業は、平成20年度から財務報告に関する内部管理体制を自ら点検し、監査法人の監査を得たうえで投資家に結果を公表する事が義務付けられました。

 財務報告の虚偽記載を防ぐため、企業の内部管理体制強化を義務づけた「企業改革法(日本版SOX法)」が法制化され、すべての上場企業は、08年4月1日以後に開始する事業年度から内部統制が義務づけられました。

 実施まで1年余りに迫り、新聞や雑誌などで関連する記事が見られるようになってきましたね。

そこで今回は「内部統制」による企業への影響について調べてみました。

「コスト負担増は数十億円」

日本版SOX法、高すぎじゃん、意味有るの?

 内部統制の実施にあたり一番気になる点はコストでしょう。

 実例として日本に先駆けて内部統制報告制度を導入した米国を見ますと、初年度の準拠費用は中規模企業で120万ドル、大企業ではなんと850万ドルに上がったというから驚きです。

 実施前に想定されていた1社あたりの平均コストは9万100ドルだったといいますから、大企業では93倍ものコストが発生したことになります。

 また米国市場にも上場するキャノンでは、15年12月に開始した準備作業から18年の予行演習まで、準備にかかった費用は20億円に上ったといいます。

 監査に備え、業務フローや手続きなどの詳細な文書化や、内部統制に対応したシステムの導入が必要となるほかに、準備作業に要する人件費もばかにならないですね。

 また、コンサルタントの指導を受けるケースも多く、合わせるとばく大な経費となります。

「IT特需なるか?」

 日本版SOX法では、ITへの対応という要素が独自に加えられています。

 あらかじめ設定された方針や手続きが、実際の業務でITに対応している必要があるほか、セキュリティ的にも安全が確保される必要があるもので、ITに関し整備が進んでいない企業にとっては新たな負担要素となります。

 こうした背景から、調査会社IDCジャパンでは、SOX法関連のIT需要が20年には、2,607億円に達すると予測しました。

 さらに、21年には7千億円を超えると指摘しています。

 すでに大手企業による日本版SOX法に対応したビジネスは活発で、記事でも下のような例が数多く紹介されています。

NEC

  • 内部統制強化に対応するコンサルティングを開始。
  • 今後3年間で300億円以上の売り上げを目指す。

日立製作所

  • この4月から本格的な営業活動を始め、売上高300億円以上を目指す。

NTT西日本

  • 昨年12月にSOX対応システムを開発。1000万円前後の低価格プランを前面に他社差別化を図っている。

富士通

  • 米SOX法のノウハウを持つGIM社(カナダ)を2月に買収。
  • コンサルティングサービス部門の陣容を、来年までに2.5倍に増強。

 こうした積極的な展開がある一方、

  • 「ユーザーはもっと冷静で、基準案は直ちにIT商材の需要を喚起しない」
  • 「むしろ、当初は手間が掛かってもうからない」

 と指摘する関係者も多いようです。

 その背景には、IT監査自体はすでに上場企業で実施されている内容とほぼ同じであり、当初顧客から求められるのは、稼働テストの文章化など手間の割には売上にならない業務になるという見かたがあるからです。

 そのため初期は、継続性がある内部監査商談の種まき期間として考え、顧客を確保するべきと考える向きもあるようです。

「本場アメリカでは縮小の論議が」

 上で紹介したように企業への負担が多く、問題視される内部統制だが、本場の米国では、昨年12月、看板条項である内部統制ルールの適用緩和を規制当局が決断しました。

 法案成立後わずか4年で見直しが図られる事態となっています。

 上場企業に多大なコストを強いるSOX法が、米国資本市場の競争力を損ねている可能性が指摘されるほか、SOX法の順守コストを理由に非公開化を選ぶ企業も増えた事が要因ですが、そもそも内部統制のためにSOX法の立法まで必要だったか? という見方もあるからだそうです。

 米国では縮小の論議が進む内部監査だが、日本では制度開始を前にしても具体的に何をすれば良いかあいまいな点が多いようです。

 解釈によっては広げも狭めもできる内部統制の実施範囲ですが、過剰監査につながらないよう米国の反省面も生かしてもらいたいと考えます。

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