就職支度金の税務の扱い

2014年8月16日

 知人より、「就職支度金の税務の扱い」について質問を受けて調査してみたので、参考までに掲載しておきましょう。

 就職に際し、雇用主から支給される一時金は、支度金、準備金、契約金などいろいろありますが、所得税の課税対象となるかどうかは、名目のいかんにかかわらずその一時金の実質で判定します。

実費弁済的な支給金は非課税

 就職支度金などは、もともと、就職に伴う転居のための旅費や引っ越し費用などの実質を弁償する性質のもので、その旅費などに通常必要であると認められる範囲を超えて利益を与える目的で支給されるものではありません。

 従って、就職者が受けるこのような就職支度金については、所得税は非課税とされています。

利益供与に該当すれば雑所得で源泉徴収対象

 しかし、いくら名目が就職支度金となっていても、就職者が就職に際して支出する費用の相当額を超える額が雇用主から支給される場合は、その超える部分の金額については、名目のいかんにかかわらず、その就職者に対して「雑所得」として課税されます。

 就職者が労務などの提供を約することにより支給を受ける契約金としての実質が濃いことから、そのような扱いになると推定されます。

 そして「源泉徴収」の対象となりますので注意です。

転職の際に支度金の支給を受ける場合も注意

 転職の際に新たな雇用主から支度金の支給を受ける場合も同様の扱いとなります。

 すなわち、就職に伴う転居のための旅費や引っ越し費用などの実質を弁償する性質のものは非課税であり、旅費などに通常必要であると認められる範囲を超えて利益を与える部分は雑所得して課税対象になるということです。

給与所得者の場合、契約金は所得税でなく雑所得

 給与所得者の場合、労働契約の締結に際し支払いを受けるこうした契約金について、そのまま給与所得としてしまうことがあるがこれは誤りです。

 ヘッドハンティングされた際に取得する契約金は税務上、雑所得となります。

 高額所得となる場合はとくに注意が必要です。

 就職に伴う旅費などの費用として通常必要な範囲であれば非課税ですし、その範囲を超える部分があればその超える部分について「雑所得」として課税されます。

 ヘッドハンティング対象の方は間違いなく処理下さい。