ねんきん定期便

2020年1月1日

 ライフプランを考えるとき、公的年金の受給額がいくらになるかということは基本的かつ、前提条件となるものです。

 受給額に関する情報提供に関しては、ようやく提供できる体制が整ってきました。

 年金受給開始時期が近づくと、社会保険庁から「年金加入記録のお知らせ」が届きます。

 しかし、これでわかるのは加入歴だけで、年金額を知りたいときは同封の「確認はがき」を返送して「年金見込額のお知らせ」をもらうことになります。

 でも、退職の間際になってから年金が思ったよりも少ないことがわかっても手遅れになる可能性があるので、差し当たっては、社会保険庁のホームページから「年金見込額試算・年金個人情報提供サービスで試算することになります。

 50歳以上なら、社会保険庁が管理している年金加入記録に基づいた年金見込額試算や年金加入記録の照会ができるますので、その活用を視野に入れておくと良いでしょう。

 【A】https://www2.sia.go.jp/mg000.php
 50歳未満の場合は、現在のところ、年金額簡易試算に条件を入力しておおよその額を計算するしかない。

 【B】https://www.sia.go.jp/sodan/nenkin/simulate/top.htm
 年金額の試算は、携帯電話でもできるようになっている。社会保険庁の携帯電話用【C】のURLにアクセスする。

 【C】https://www.sia.go.jp/k/
 ほかにもパソコン版ホームページにある「携帯電話版ホームページのご利用方法について」のQRコードを読み込む方法などがある。
 内容は年金額簡易試算と同じ。利用料は当然無料だが、携帯電話の通信費用がかかる。
 その他、ユーザーIDとパスワード登録をしておくと年金加入記録のほか、公的年金の加入履歴、厚生年金の標準報酬額なども確認できるようになっている。

 【D】https://www3.idpass-net.sia.go.jp/neko/action/z0401

ねんきん定期便(案)の概要

 保険料の納付実績や年金見込額等の個人年金情報について、定期的な通知を行うということでポイント制の導入が、平成20年4月以降に予定されています。

 その具体的な施策として、社会保険庁は、平成18年11月9日に平成19年3月から一部始まる年金見込額の通知制度「ねんきん定期便」の概要説明を行いました。

 概要については、以下のとおりです。

(1) 全年齢共通事項

  • 加入期間→基礎年金(第1号、第2号、第3号被保険者期間)の加入月数、納付済月数、厚生年金の加入月数
  • これまでの加入実績に応じた年金見込額
  • 保険料の納付額(被保険者負担分)

(2) 年齢に応じた事項

  • 35歳、45歳、58歳の人には、加入履歴
  • 50歳以上の人には、現在の加入制度に引き続き加入した場合の将来の年金見込額
  • 50歳未満の人には、年金額早見表

 送付は、毎年誕生月に送付の予定となっています。

ねんきん定期便の多くの課題

 公務員の共済年金にも同じ仕組みを実施するように求められており、対象者は約7000万人。必要経費は、年間100億円強と見込まれ、財源としては保険料を想定しているようです。

 厚生労働省としては、平成16年度改正で「年金が毎年着実に増えることを実感してもらう」ことを目指して、被保険者全員に確保済みの年金額をポイント換算して通知するポイント制を決めていましたが、安倍首相の「金額で伝えた方がわかりやすい」との指示で実額通知に変えることになったようです。

 しかし、本事業を実施してみると、年金額が思ったよりも少ないことがわかり、逆に年金不信を招くとの懸念もあるようです。

 また、年間100億円の経費は、その費用対効果を考えると、高額ではないかとも思えるわかです。

 さらに、20歳から全員に情報提供する必要があるのか、実施までにはよく検討しておく事項が多いのではないでしょうか。